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モスクワ滞在編 レストラン訪問記 Part3 Russian Restaurant “SAVVA”
さて、Part3と称して、モスクワレストラン滞在レポートの最後を締めくくるのは、ロシア料理レストラン“SAVVA“。
Hotel Metropol内にある当レストランは2015年に開店し、ホテル創業者で資本家のSavva Mamontovの名前に由来します。
「モスクワのメディチ」と呼ばれた彼は芸術文化の振興に貢献し、20世紀初めのモスクワのイメージ転換に大きく影響を与えました。
レストラン開店以前には、1905年ホテル創業時から続く喫茶店があったそうです。
店内の歴史的な装飾は喫茶店営業時のもので、大理石の柱や天井画などが当時の状態のまま残っています。
ちなみに赤の広場の目の前に立つホテルは観光にはうってつけで、私たちが滞在していたSt. Regis Moscow Nikolskayaからも徒歩5分圏内と常に寒いモスクワではお役立ちの立地条件。
こちらのレストランも”Salumeria Moscow“と同様に、モスクワ旅行時には毎回訪れているお気に入りのお店です。
歴史的な建物内に新たに出来たレストランは、建物だけでなく、料理も新旧同立しているといった感じです。
「進化するロシア」と呼んだらいいでしょうか。
あくまでも伝統的な料理は残しつつ、視覚と味覚を刺激する新しいロシア創作料理が楽しめるんです。
なので王道ロシア料理に徹したい場合も、ちょっと冒険して変化を楽しみたいという場合も当レストランは完璧。
特にお勧めしたいのが魚料理です。
魚たちはどれもとびきり新鮮で調理法も様々です。
ビーツとフレッシュチーズ クミンパウダー
まずはアミューズブッシュから。
ビーツとフレッシュチーズは典型的なロシア料理の組み合わせですね。
ボルシチにサワークリームをかける的な。
で、クミンパウダーもかかっているので食欲促進効果が。
フレッシュチーズの酸味とクミンの香り漂う爽やかな一品です。
黒パン クルミ入り
海藻入りプチバゲット
お代わりすること間違いないのはパンです。
黒パンは生地がずっしりとしまっていて、程よい酸味があり、クルミの甘さとよく合います。
海藻入りバゲットは外はカリカリ、中はもちもち。
生地に練りこまれた海藻と外側に散りばめられた岩塩で磯の雰囲気を見事に演出、バターをつけて食べればふんわりと磯の香りが漂います。
美味しすぎて、これ癖になる味です。
そういえば、フランスのLe Beurre Bordier社の「海藻入りバター」が大好きで、時々ミュンヘンのDallmayrで買っていました。
磯の香りとバターってなんでこんなにも合うんでしょうね。
でもパンに海藻が練りこまれているのはモスクワで初めての体験です。
日本人としては、海藻を米ではなくパンと組み合わせることに結構抵抗感あるかとは思います。
あと魚とパンとか。
私も北ドイツに住んでいた頃、初めて朝食にニシンの酢漬け(Herring)と茹でた小エビ(krabben)が出てきたときには大仰天しました。
どうやってパンと一緒に食べるんだ、これと。
今や自ら好んでパンの上に載せて食べるほどの大好物になりましたが。
人間慣れるもんですね。
ブリーニ
とびっこといくらの盛り合わせ(各50g)
付け合わせ:うずらの卵、サワークリーム、ディルと紫玉ねぎ
前菜には魚卵の盛り合わせをロシアのパンケーキ「ブリーニ」とともに注文しました。
これ、前菜でしかも一人分ですよ?
驚愕の量ですよね。
毎度同じ失敗を繰り返しては後悔するのが、前菜のいい塩梅を計り忘れることです。
お腹が空きすぎて、前菜の量が半端なく多いことを忘れ、メインを食べる余裕がなくなるという悪循環。
前回もそういえば全くのデジャブ現象が起こって、前菜・中間・メインと3種類注文をしていましたが、途中でギブアップ。
最後のメインをやむなくキャンセルしました。
今回は前菜とメイン(温かい前菜をメインの代わり)2種のみにしたので何とか乗り切りました。
ブリーニはもちろんできたてでふわっふわです。
ほんのりと甘みがあって、何もつけずにブリーニだけ単品で食べても十分に美味しいです。
と言って、今回も結局は全て食べきれずに残ったブリーニだけを何枚かドイツまで持って帰りました。
王道の食べ方はもちろん、ブリーニの上にいずれかの魚卵を載せ、玉ねぎ、ディルをふりかけ、サワークリームを少量塗った上で最後にうずらの卵をトッピング。
すると魚卵の自然の塩分、玉ねぎの苦味、ディルで魚の生臭さが中和されてさっぱりと。
そしてサワークリームがブリーニの甘さを一層引き立て、うずらの卵黄がとろりと魚卵とブリーニを包みます。
ダブル卵(魚とうずら)の組み合わせはこれまでに何度もモスクワで味わっておりますが、やはりブリーニ載せていただくこの組み合わせは格別に贅沢で美味しいです。
一枚のダブル卵ブリーニだけでも十分に栄養たっぷりでお腹にたまるのに、これを計8枚もペロリと食べるモスコビータ達に感服です。
ボルシチ
さて、夫はというと、これまた王道のロシア料理「ボルシチ」を前菜に。
ロシア料理といったらボルシチ、というほど日本でも浸透している一品ですよね。
ただ元をたどるとウクライナが発祥地で、近世以降にロシアやポーランド、ラトビア、ルーマニアなど東欧諸国に普及したようです。
ボルシチの基本材料はビート、玉ねぎ、人参、キャベツ、牛肉。
これらを炒めた後、スープと合わせてじっくり煮込んで出来上がりです。
その他の材料は決まっていないので、各家庭や地域、レストランによって味や見た目が全く異なります。
野菜が多めだったり、ハムや肉団子などの肉類や魚の唐揚げを合わせたりと様々です。
ボルシチにはサワークリームが常に添えられているので、スープに少しづつ入れていただくとまろやかさ、酸味で爽やかさがプラスされてさっぱりといただけます。
当レストランではワクワク感をそそる、ボルシチといったらこれだよねと期待してしまうパイ生地の蓋とともにスープが提供されました。
蓋を開けるとたっぷりを盛られたボルシチの姿が。
ビーツの赤紫色が鮮やかで目を引きます。
また、当レストランでは基本材料に加えて、アヒルの足とさくらんぼが追加で使用されています。
甘酸っぱくてスープはサラサラ、中には沢山の野菜と肉がぎっしりと詰まっています。
酸味は食欲を刺激するんでしょうね。
サワークリームの酸味と相まって、後味がさっぱりとするため食後は全く重く感じません。
サハリン産 帆立貝 ヒラタケ、カダイフ麺、レモングラスソースを添えて
メインに頼んだのはこちらの温かい前菜。
サハリン産というのはロシアの中でもかなりステータスが高く、他と比べてお値段ももちろんはります。
サハリン産カニ、エビ、甘エビ、帆立貝、などはロシア人でもヨダレものの格別の美味しさなんです。
で、このメインは大分フュージョン形式な一皿です。
何しろ、くねくねした生地がホタテの中を包んでいるので、一見正体不明です。
このくねくねはカダイフ麺というもので、通常、中東や地中海地域でデザートに使用されます。
小麦粉でできていて、油でカリカリに揚げられています。
ナイフで中を割ってカダイフ麺とホタテをいただくと、ふわっとしたホタテからはジューシーな甘みが、そして麺のパリパリ感がアクセントになってとてもよく合うんです。
また、どちらかというとあまり個性のない味のヒラタケですが、細めに切ってほとんど加熱していないのでシャキシャキとしています。
そしてレモングラスソースと青のりの粉末で爽やか且つ磯の風味をたっぷりの奥行きのある味に様変わり。
ホタテは二粒と少量にもかかわらず、素材そのものに旨味が濃縮されているため、食べ応えがあります。
ホタテの甘みが一人勝ち、でも他の素材も良質のホタテの味をさらに引き立ててそれぞれが主張しすぎない、といった絶妙のパランスの一品。
夫はメインにビーフのタルタルを注文。
ビーフのタルタルは生の牛肉ミンチに生卵や玉ねぎ、ケッパーやアンチョビを混ぜたものです。
頼むと写真のようにお姉さんが可動式の調理台で準備を始め、好みの材料の配分を聞いて調合してくれます。
そして出来上がったのがこちら。
ビーフタルタル 塩漬けフォアグラ入り トーストを添えて
とても美しい見栄えにうっとりとしてしまいます。
実はロシア料理は塩胡椒での味付けがほぼないため、結構なんでも味気ない感じになってしまいます。
ですがこのタルタルはなんと塩漬けのフォアグラ入り。
なので塩気を難なく演出、さらにフォアグラのペーストが見事に牛肉のミンチに折り重なってクリームのようになめらかに。
肉肉しい中にもコクがあってしっとりまろやか、噛み締めれば噛みしめるほど素材の味を感じられる奥深い一品です。
新鮮な生肉ほど贅沢で美味しい食べ物はないかと思います。
それにしても食後は容易に動けないほどお腹が重かったです。。。
ウォッカを二杯飲んでも消化のペースは早まる気配なし。
レストランからホテルまでが歩いてすぐの距離で本当に助かりました。
できればレストラン内のホテルに宿泊していたらもっと楽だったのになぁなんてちらっと思ったり。
今回の滞在時も伝統的なパンケーキ、スープから始まり、革新的な魚介料理と肉料理をたっぷりと堪能したのでした。