一休の記念日レストラン

東京滞在2日目 港区、新宿区、渋谷区編

写真は、The Lost in Translationな気分に浸っている夫をとらえた瞬間です。(完璧やらせですが)

皆さんはご存知ですよね、映画『ロスト・イン・トランスレーション』。
ソフィア・コッポラ監督、ビル・マーレイとスカーレット・ヨハンソン主演のこの映画は東京が舞台となっており、シーンの象徴的な部分は新宿のホテル『パークハイアット東京』で撮影されました。
年齢も東京滞在の目的も全く違う二人が孤独な心を異国で通わせあい、特別な関係を築いていくというストーリー。
実際に日本居住経験もあるソフィア・コッポラ監督だからこそ、ハリウッドが描くステレオタイプの日本とは全く違っていて、日本の現在の姿をありのままに捉えて、その詳細な描写には彼女の日本への愛が散りばめられています。

ではなぜこの日の夕方急にパークハイアットに行くことになったのでしょう?
その理由はまた後で説明することにして、時系列で順に出来事を追っていくことにします。

まず金曜日午前中はロシアビザを申請することが必須でした。ですので朝一番に神谷町近郊のロシア大使館へ向かいました。
ロシアビザについては別枠でまた記事を書くことにしますが、夫のモスクワ長期出張の関係で私も去年までに三度ロシアを訪れていてロシアの魅力にすっかり虜になってしまったのと、今後も旅行に頻繁に行くなら日本でロシア観光ビザを取得した方が楽かなと思ったので今回の日本滞在で申請をすることにしました。

ドイツでロシア観光ビザを発行してもらう場合は日本国籍者はシングルエントリーしか発行してもらえないので、滞在する毎に申請する必要があります。
それに比べて日本で申請をすれば、半年間有効なマルチエントリー観光ビザが発行してもらえるという優遇措置。そして発行手数料はかかりません。しかしここで私は重大な失態を犯しました。発行まで二週間待たなければいけないということを。。。
申請から10日後には再び香港旅行を計画していたため泣く泣くマルチエントリービザ取得を諦め、3月に一ヶ月間有効なダブルエントリー観光ビザを取得したのでした。

今日は朝ごはんも食べずに9時に家を出て(本当は業務時間の9時にはロシア大使館につく目標だったのに全然間に合わず)、書類も全て完璧に揃えて順番を1時間半も待ってやっと迎えたのに、まさか二週間の取得時期に阻まれるとは。。。
発行を急ぐ場合には、手数料を払えば受領日を早めてくれる仕組みがありますが、それもマルチエントリー観光ビザの場合は適用できないとのこと。

絶望で目の前が真っ暗になりました。
そして放心状態のため、ビザ手数料を払わずに大使館を後にしてしまいました。
未払いのままでは申請手続きが開始できない、と後で事務員からメールをもらって気づいたのが昼食後、12:10。
金曜日のロシア大使館領事部の業務時間は12:30まで。来週からは国内旅行で再来週は香港です。今日を逃したらビザ申請自体も水の泡です。

昼食後死ぬ気で六本木1丁目からロシア大使館まで走って着いたのが12:25。Google Map曰く20分かかる距離だったそうで。
いやー、間一髪とはまさにこのことをいうんですね。間に合ってよかった。
走ったら気分が爽快になって、暗い気持ちも軽くなりました。
で、ふと気づくと夫が行方不明。大使館からの領収書を抱えてさっき来た道を颯爽と戻っていく私とは反対に、3分後に息を切らした夫に遭遇しました。
殺気立った私のものすごいスピードの全力疾走に着いていけなかったんだとか。
今度は旦那が自らの運動不足という事実を突きつけられたことに落胆。
いやほら、人間極限まで追い詰められると持っている以上の力を発揮することがあるでしょ、火事場のバカ力だよと夫をフォローするも効果なし。

というわけで、二人ともこの日はお互いにマイナス意識がすごく大きかったので、何か気分をあげようと思い立ったのがパークハイアットでお茶をして、憧れのロスト・イン・トランスレーション体験をしようということになったのです。

その前に時間を少し戻して昼食の内容をご紹介します。

私は以前神谷町、六本木一丁目近辺で勤めていたのでランチはよく外に繰り出していました。
その中でも、普段よりもちょっと奮発して誕生会や送別会など特別な機会で使える素敵なレストランがありました。
それが神谷町のフレンチレストラン『ヴォワ・ラクテ』です。


このレストランは、菊池寛実記念 智美術館内に併設されており、美術館では現代陶芸コレクターの菊池智が集めた選りすぐりの現代陶芸コレクションが公開されています。また、ホテルオークラ近郊に建物を構え、美術館外壁はライム・ストーンでできたモダンで洗練された趣きでありながら、同敷地内には国の登録文化財である大正時代に建てられた西洋館、100年の歴史を刻む庭園も共存しており、新旧が入り混じった独特な雰囲気を醸し出しています。

何と言っても圧巻の景色は、レストランから眺める庭園と西洋館の様子です。
レストラン内は左右前方が全てガラス張りになっており、どこに座っても美しい庭園を眺めることができます。また、夜は天井がライトアップされて幻想的な満天の星空を眺めることができます。
レストランにいながらにして、美術館体験と自然鑑賞も同時に叶えることが出来、食事も申し分のない美味しさです。
まさに都会の隠れ家、オアシスという言葉がぴったりで、時間を忘れてゆっくりとお昼を過ごすことができるのです。
(と言っも私たちはビザの件もあって残念ながら今回は1時間も滞在できませんでしたが。。。)

11:30営業開始と同時に一番乗りで席に案内していただきました。

ランチには、スープ・パン・コーヒー又は紅茶が付いており、まずはパンと本日のスープをいただきます。

バゲット

ウズラマメのスープ

レーフルーツジュース

ウズラマメのスープはなめらかな口当たりで、ほんのりと豆の甘さが感じられて美味しかったです。
また、裏ごしを完璧にしているわけではないので、豆の食感がしっかりとあります。
最後の一口はバゲットで拭って残さずいただきました。

ビーフカレー

夫はビーフカレーを注文。
なんとも美しく器に飾られたビーフカレー。
お肉が塊で中央に乗っているのも嬉しい限りです。
カレーのルーはしっかりと裏ごしをされているので、野菜とお肉のコクが濃縮したルーとゴロっとしたお肉本来の味を楽しむことができます。
お肉はスプーンで切れるほどホロホロに煮込んであります。
カレーの量に対して、薬味が多いので、薬味食べ放題だね、と冗談を言っていました。

国産牛ホホ肉の赤ワイン煮込み

こちらは私が頼みました。
メニュー名の通り、牛ホホ肉を赤ワインで長時間煮込んだ一品です。
野菜の彩りが美しく、さっと素揚げしたのでしょうか、表面はつやつやと輝いています。
お肉は赤ワインの効果で柔らかく甘みがあって、長時間煮込んだ効果で肉汁とワインから出るソースが旨味たっぷり。
ソースは付け合わせの野菜につけていただくとさらに美味しさが増します。

二人でランチの美味しさで感動に浸ってはいたものの、やっぱり一皿の大きさが普段食べ慣れているドイツの大きさとは違って小さし、朝食も抜いていたので全く物足りず。
デザートでも食べたいね、と言っていたところでロシア大使館でのビザ申請料支払いとんずら事件発覚。
そんな訳で食後のデザートはとりあえずお預けし、やることをやってひと段落したところで本日の午後の予定を次のように決めました。

  • 伊勢丹新宿店(伊勢丹メンズ)で洋服を見る

  • その足でパークハイアット東京のピークラウンジでお茶をする

  • 夫が気になっていた千駄ヶ谷のセレクトショップに行く

  • 夜ご飯は渋谷区近辺でラーメンを食べる

私は計画を立てるのも立てた計画を守るのも大分苦手な性格なんですが、ドイツに引っ越してからは大分計画を立てるのが上手になりました。
ドイツ人は計画立てるのが大好きと言われており、休暇とも言えばその実力は存分に発揮されます。
でもあまりにも几帳面に計画を立てている人といると息がつまりそうになるのも事実。
その点うちの夫は典型的なドイツ人ではなく、計画倒れしても後はフレキシブルに対応すればいいじゃん、とゆるく構えているキャラなのでそこまでプレッシャーをかけられなくて助かってます。(でも夫、日本滞在中のプランは全部私にやってね、と軽くプレッシャーかけてました 汗)

平日の伊勢丹メンズはお客さんがほとんどいなくて洋服もおしゃれな店員さんも見放題です。
夫は免税にかまけてここぞとばかりにモード系のお洋服(
Julius, Yoji Yamamoto)を爆買い。
確かにヨーロッパでこの辺のブランドを買おうとしても、サイズ展開も元々そんなにしていないし、関税がかかっているからか高額なんですよね。
試着中にはなんと店員さんが4人がかりで対応してくださいました。傍目で見てるの楽しかったなー。
お客さんでいっぱいの週末はこうはいかないんでしょうけど。

伊勢丹メンズで素晴らしいサービスをお兄様方にしていただいて、自分も欲しい洋服が手に入ってホクホクとしている夫とともに店を後にし、徒歩でパークハイアット東京に向かいます。

ホテルビル地上階から階段で2Fエントランスまで上り、エレベーターで41Fのフロント階まで一気に上ると、出口がすでにピークラウンジになっています。

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エレベーターの中に入ると写真のような不思議な道化師や狐のオブジェを目にします。訪問者をずっと見つめているかのような表情に引き込まれて写真を撮りましたが、こちらのオブジェは女優で芸術家の結城美栄子さんの作品だそうです。金属の色合いがダークブラウンの木目調とぴったりとあって、落ち着いた印象でありながら幻想的な雰囲気を醸し出しています。

41Fエレベーターを降りるとすぐに『ピークラウンジ』があります。
まさにバブル期の賜物といった空間使いになっており、今時ここまで贅沢な作りのホテルはないのではないでしょうか。
天に向かって円錐型に伸びていくガラス張りの天井、大理石張りの植木鉢をラウンジの真ん中に構えて竹林が堂々と生い茂っている様子はまさに都会の楽園。

映画『ロスト・イン・トランスレーション』の監督ソフィア・コッポラは彼女の処女作『ヴァージン・スーサイズ』のプロモーションで来日時に滞在したパークハイアット東京を世界で一番好きな場所というほどに気に入り、本映画の撮影現場に使用するためにホテル側と交渉したそうです。
そして彼女はホテルの事を「一歩足を踏み入れると、まるで空中に浮かぶ島にいるよう」と、表現したそうです。

今日も新しいホテルは増え続けており、好みも人それぞれかとは思いますが、20年以上経過した今日でも、これほど圧倒的な存在感を保っているのはやはり90年代当時に東京外資系ホテル御三家と呼ばれただけあります。
いい意味で今後復元することができないであろう、豊かな時代を象徴する建築遺産だと思います。

 ピークラウンジに着いて、ようやくお預け状態だったお昼のデザートにありつくことができました。

コーヒー

紅茶(アールグレイ)

モンブラン風ロールケーキ ブルベリーソースを添えて

メニューをよくよく見るとコーヒーも紅茶も値段は一緒ですが、コーヒーがカップ一杯分なのに対し、紅茶はポットで提供されるため、今度からは紅茶を二人とも頼もうねということになりました。笑
そして飲み物の量に対して牛乳の量がやけに多いのでお得感大です。
あとはサービスで抹茶のクッキーと豆菓子がついていました。
モンブラン風ロールケーキはまさに日本風の味といったらよいでしょうか。ふわふわの甘さ控えめです。カカオ風味のロール生地がしっとりとしていて、中のクリームもなめらかでしつこくなく、栗の風味がふんわりとしています。
カカオと栗に、ブルーベリーソースの爽やかな酸味がとてもよく合います。

ひとしきり憧れのパークハイアット東京でロスト・イン・トランスレーション体験をしたあとは、再びショッピングに。
新しい洋服のセレクトショップを開拓しようということで夫が気になっていた千駄ヶ谷の『QUADRATO Boutique』へ。
近隣界隈には中々見られないモード系のセレクトショップで、欧州の新進気鋭のデザイナーの洋服を限定で取り扱っている非常に稀なお店です。欧州でも滅多にお店で買うことができないCinzia AraiaNostrasantissimaなどのブランドが揃っています。

夫にホテルから千駄ヶ谷までなんて徒歩ですぐだよ、15分位と言われ、途中道に迷い結局お店についたのが1時間後。
これよくあるパターンなんですが、散歩好きな夫の口車に乗せられて、気がついたら言われた時間をゆうに超えて歩かされているという事実。
ゆでだこ状態の私を一生懸命持ち上げて機嫌を取り繕おうとする夫。
お店の場所が半地下になっているので同じ一角をずっとぐるぐる回っていてやっと見つかったのが18:00位。調度セールが始まったばっかりなんです、とお店の経営者であるお姉さんに説明を受け、色んなお洋服を二人で試着仕放題で楽しみ、最終的にお店を後にしたのがなんと21:00。
ワァーお姉さんごめんなさい、ついつい楽しみすぎて営業時間終わっているにも関わらず全く知らずにお付き合いいただいてました。ドイツだったら絶対に、お店閉めますのでもう帰ってください、って言われるのにね 笑。優しさに感謝です。
さっき伊勢丹メンズで服を爆買いして、自分だけ洋服を買って罪悪感を感じていたらしい夫が、私の洋服購入を半分カンパしてくれました。ゲットしたのはアウター、トップス、パンツ、スニーカー、レザーブーツです。

晴れて二人とも本日は欲しかった洋服が手に入りホクホクしておりましたがお腹が減りすぎて途方にくれていたところ、お姉さんがすぐ近くにラーメン屋さん『野方ホープ』原宿店があることを教えてくれましたのでそちらへ向かうことに。
野方ホープ、大好きです。夫が日本に留学中は中目黒に住んでいたので、ラーメン激戦区目黒の野方ホープは何度か行ったことがあるのですが、原宿店もあることは知らず。本店は中野区野方。豚骨ベースに野菜と鶏のスープ、醤油ダレを合わせ、豚の背脂は量が普通、こってり、ギトギトと好みで配合量を選べます。
なお、「こってりしているがしつこくない絶妙なバランスを実現しています」との説明がホームページにありますが、これは背脂の量が普通の場合のみに限るかと思います。以前、あまりにもお腹が空いていた時に調子に乗って背脂ギトギト、麺大盛りに餃子とチャーシューご飯を頼んだらさすがにスープの脂っぽさにノックアウトされて完食するのが大変だった覚えがあります。皆さんから単純に食べすぎでしょと突っ込まれそうですが、外に出たらこの程度は普通にたいらげます 笑。

お店の前でサラリーマンのグループが一組待っていましたが、待ち時間はほぼ無しですぐに中に入ることができました。

シソ入り餃子

餃子

ラーメン屋に行ったら絶対に餃子は外せないという純日本男児的な振る舞いを見せる夫。先日目黒の野方ホープで食べたら美味しかったからと勧められてシソ入り餃子を頼みました。でもそれだけじゃ絶対に足りないので普通の餃子も追加。普通の餃子は豚肉ががっつり入っていて味付きなので醤油をつけなくても十分美味しいです。シソ入り餃子は風味と後味の爽快さが後を引きます。後味さっぱりになるのでどっちかというと女性好みの味というのでしょうか。薬味が好きな方にはもってこいですね。好みが分かれるところですが、シソの代わりにパクチー入れても美味しいかと思います。

これだけじゃ全然足りないのと、普通の餃子が7個と奇数入っているので夫とどっちが多めにとるのかで喧嘩して最後は箸で割って半分こにしました。シソ餃子は偶数なのに。。。

すみませんが早くラーメンを持ってきてくださいな、と思っていたら間髪を入れずにきました!

特製ラーメン

豚骨ベースに野菜と鶏のトリプルスープと背脂を合わせた「のがほ 元」に贅沢なトッピングが乗ったボリュームあるラーメン。
すみません、結局お腹が空きすぎて麺は大盛りです。でも背脂は普通に設定したので失敗から学べる大人になりました。
チャーシューは肩ロースとバラ肉の二種類、焼き海苔3枚に半熟煮玉子、味を引き締める決め手に白髪七味ネギが乗っています(普通の白髪ネギも選べました)。麺は普通茹ででお願いし、太めでもっちりとしています。写真で見るスープの脂の乗り具合から大分こってりしているように見えますが、本当に後味はさっぱりしていてトリプルスープと醤油ダレの効果大です。このさっぱり効果が助かって、トッピングも麺も大盛りでしたが私は全く問題なく完食しました。スープも飲んでしまいたくなるくらい、まさに病み付きの味です。

担々麺

夫が頼んだのはこちら。最近は担々麺がお気に入りな様子でどこに行ってもこればっかりです。
胡麻、自家製のラー油と山椒の調味料、更に通常の豚骨、野菜と鶏のトリプルスープと背脂を合わせた辛さとコクがある一品です。また、ひき肉の旨味が合わさって全体的にお味は辛さよりも風味の豊かさとまろやかさが一層目立ちます。辛いのが苦手の人は問題なくすっと入ってくるお味だと思います。麺にスープがよく絡んで濃厚なスープの旨味をとことん楽しむことができます。また、シンプルなひき肉、もやし、カイワレ大根3種のトッピングは決して脇役に徹することなく、ひき肉の香ばしさ、もやしとカイワレのシャキシャキ感は麺とスープとの相性抜群です。

杏仁豆腐

あれば締めにいつも頼んでしまうのが杏仁豆腐です。
と言ってもこれまでは
水っぽかったり味が薄かったりとなかなか意中の杏仁豆腐の味に出会ったことがありませんでした。
が、しかし!なんと野方ホープの杏仁豆腐はどこよりも本格的な杏仁豆腐でした。完璧な弾力、なめらかな口どけ、そして後味が牛乳味すぎず、杏仁の香りがしっかりとしています。衝撃的な出来栄えに脱帽です。日本食でデザートは期待できないと決めつけておりましたが先入観が全く覆されました。

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